もう十年ほど前に、札幌の宮の森美術館で野村佐紀子さんの写真展を見て、ギャラリートークに足を運んだ。

砂丘館で働き始めた今年の1月、その野村さんが砂丘館で個展をやるかもしれないという知らせを聞き、とても驚いた。まさか、野村さんと写真が、向こうからやってきてくれるなんて!!!新潟に!砂丘館に!?


写真展のテーマとなった写真集「Sakiko Nomura: Ango」。坂口安吾が偉大な作家であることは知識としては知っていたが、こちらに来て間もなく、砂丘館界隈を大倉館長と歩いている時、ここが安吾の生家だったところだよと案内され、あまりの近さに驚いた。そして、安吾を愛する人たちが、ここにはたくさんいるのだということを知った。

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展覧会開催が決まり、「Sakiko Nomura: Ango」という、美しく、洗練されたデザイン、思わず「所有」したくなるこの写真集を見て、台湾の出版社、田園城市文化事業の陳さんと陳さんが作った本が頭に浮かんだ。なんだかそのことを伝えたくなり、久しぶりに陳さんに連絡してみた。そうしたら、「うちのギャラリーで町口兄弟、展覧会をやったことがあるよ。彼らの本は素晴らしいよね!」というまたしても驚きの返信が届いた。

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3月。展覧会のプレイベント、BOOKS f3で開かれたトークショーのあとに、町口さんにこのことを伝えたら、台湾に滞在したとき、ちょうどひまわり学生運動が行われていた時期で、陳さんのギャラリーで開催した町口さんのワークショップには、会場がすし詰め状態、たくさんの人が押し寄せた。ワークショップが終わり、サインが欲しいと町口さんの本をたくさん持って現れた学生たちは、クラウドファンディングを使って自分たちで制作した、ひまわり学生運動の写真集を持って来ていた。デザインはまだまだだけれど、その“思い”に感激し、町口さんからサインが欲しい、オレにその本をくれ!とお願いし、本をもらった。そしてその本が今でも町口さんの書棚に大切に置かれていると教えてもらった。

さらに、デザイナーだった町口さんのお父様は、横浜道路局から受けた仕事で牛腸茂雄さんと一緒に仕事をされていた。牛腸さんの写真集「SELF AND OTHERS」と佐藤真監督の「阿賀に生きる」。二つをテーマに大倉館長が論じた評論がきっかけで、佐藤真さんは牛腸さんのこの写真集と出会っている。

野村佐紀子写真展「Ango」新潟開催が決まり、特別展示する新潟での写真撮影のために、野村さんがやってきた。ほんの三日間の滞在で、見つめた瞬間から、目も心も奪われ、野村さんが射止め、永遠に定着させた世界に引き込まれてしまう多くの素晴らしい写真が生まれて、砂丘館に掛けられることとなった。

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思いがけないことはまだまだ続き、新潟での「Ango」展開催に当たり、特別に作られた屏風の中に収められたモデルの女性は、なんと砂丘館から徒歩1分のところに住んでいたことがあり、みその幼稚園に通っていたことがあるという。


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不是小!是同樣磁場的人不管到哪裡,總是有一些微的磁力互相吸繫著!」(世界が小さいじゃない!同じ磁場を持っている人たちはどこにいたって、微かな磁力で引きつけ合っているんだよ!)。そう、陳さんは言った。

砂丘館での野村佐紀子写真展「Ango」開催の話が出てから、目の前に繰り広げられる展開に、ただただ圧倒され、“思い”を形にすべく実現に動く人たちのエネルギーと情熱の波に、うおおおおおおおおおおとのまれながらそれをじっと眺めている、そんな日々だった。そして、それを見たい!やってよ!と貴重なお金を投じ、賛同してくださった方がいてこそ、開催できた展覧会。

ぜひ、多くの方に見てもらいたい。“思い”の塊が引き合って出会い、生み出したものに触れてほしい。こんな大人がいるよ!って、若い人たちに知ってほしい。

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“今回、「戦争と一人の女」について、いろいろ考えさせられました”と、

展示作業中に大倉館長が言った。

そうだった、なぜ、今、坂口安吾の「戦争と一人の女」[無削除版]が出版されたのだったか。野村さんが安吾の小説を読んで読んで読んで提示した、これらの写真たちは、どうして選ばれたのか。

これからひと月の間に、展示を見ながら考えてみたい。

安吾の故郷で、安吾と安吾の小説に掴まれた人が生み出したものを見ながら考えられるなんて、なんて贅沢なんだろう!!!

そして、大倉さんは、一体何を“考えさせられた”んだろう?(それは今後絵屋のブログで館長が書きます!)

もはや、巡回展の域を超えているような野村佐紀子写真展「Ango」新潟展。

今日、始まったばかりです。

砂丘館は朝9時から夜9時までの開館で、観覧無料です!

(あ)



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# by niigata-eya | 2018-04-15 09:20 | 砂丘館
三方舎書斎ギャラリーで、「井田英夫 巡回支援展」がはじまり、絵屋に巡回し、井田さんが20数年間に手掛けた99点の作品を2会場で頒布することができました。
この機会に、これまでと今回でコレクションされた井田英夫作品のその後のようすを見せていただいています。
呉で療養中の井田さんにも見てもらえたらと思い、ここにすこしずつアップしていきます。
(I)

新潟市
Nさま宅
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春に毎年飾るそうです。
今年も飾ったと画像でお知らせいただきました。
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「3つの植物」
久留米に滞在していた頃の作品です。
井田さんは、絵に集中できる場所を求めて、いくつかの土地を転々としてきました。
現在はそれが広島県呉市音戸町なのです。
この絵のなかには、じつにさまざまな緑色がありました。
額を作る際、Nさまは絵のなかの緑色からバックの布地を選ばれました。

加茂市
S.Hさま宅
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左「音の鳴る実」
右「音戸の瀬戸を眺めるおじいさんのいる風景」
どちらも2017年、音戸で描いた作品でした。
右の作品は、句集「猫」(田代草猫)の表紙絵になっています。

新潟市
I宅
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2012年、三方舎書斎ギャラリーさんでの個展で発表された作品。
実は、私の家の子ども部屋の写真です。
井田さんは、チラシやポスターなどの裏紙や段ボールなどに描くことがあります。
数年前、一緒に越後線で冒頭のNさま宅をお訪ねした日に、同行した子どもたちを、向かい側に座って描いた一枚です。

今回、巡回支援展で発表している新作のいくつかは、療養中の病院で描いたものです。
裏紙は透けて見えるのがお気に入り要素のひとつ。
最新の自画像のまわりには、食事についての連絡事項が鏡文字で書かれていました。

新潟市
Cさま宅
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句集「猫」の挿絵原画をお求めいただきました。
絵と仲良しの猫さんです。

新潟市
Kさま宅
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「窓辺の洗剤たち」2013
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「松山行きのフェリー横切る」2017
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「6月の暑い午後」2013-14

お家と職場にも、飾ってくださってます。
新潟市秋葉区の薬局で。
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「弥彦山」2013

新潟市
Iさま宅
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2017年の個展で発表した広島で描いた作品。
Iさまより「井田さんのビーチに憩う」というタイトルで、写真を送っていただきました。

新潟市
Iさま宅
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巡回支援展出品作品のひとつ。
猫さんと暮らすお家に、猫さんも描かれた自画像がもらわれていきました。
「お母さんも、可愛げな猫らと、ローレライ(絵のなかの猫)を眺めたりしてます」
と近況を知らせていただきました。

つづく



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4/2-10
Open eyaの一つ目の展覧会です。

写真の道を進んでいた北村さんでしたが、近年ペンで絵を描くようになりました。
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画廊にいる北村さんが、絵を描き始めました。
白紙がだんだん埋められていきます。
あらかじめプランがあるのではなく、描きながら絵になっていく、そういう描き方です。
絵を描くと、落ち着くそうです。
また、落ち着いているときにしか、描かないことにしているとのこと。
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この絵のつづきはまたアップしますね。

はじめは、からだに描いていたと聞きました。それから、紙に描くようになり、サイズを名刺サイズからだんだん大きくして行って、今回は73×60cmの大きな作品もあります。
その絵の前で、長く佇む方がいらっしゃいます。
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土壁の前には、北村さんの地元で撮影した八海山と真っ青な空の写真。
同居する祖父母がお家で過ごす時間が増え、気休めになればとおふたりの部屋に写真を飾るようになり、この写真を大きく引き伸ばして、トミオカホワイト美術館さん市民ギャラリーのグループ展に出品したことが、絵を発表することにもつながりました。
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2015年から絵を描き始めて、たくさんの絵があるはずなのですが、今回ご自分で選んだのは、2017.2018年に制作した中からの15点でした。
この目の厳しさは、写真(あるいは表現してきたことの経験)から養われたところもあるのでしょう。

新潟デザイン専門学校で教わったという先生方も、足を運んでくださっています。
最終日も、北村さんは絵を描いています。
(I)
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# by niigata-eya | 2018-04-08 17:33 | 今月の土壁
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ギャラリートークのようす
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# by niigata-eya | 2018-03-17 17:03 | 今月の土壁
studio monのアクセサリー展示に合わせ、「絵本」をたのしむイベントを企画しました。
今回は「飾る」をテーマに絵本を選んでいただき、当日、参加者の顔触れからその構成をお考えいただきました。
はじまりに、お話のろうそくに火が灯りました。
読む人:豊島京子さん
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読んだ絵本の集合写真
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上段左から右、次いで下段左から右の順。
ぞうのお話からはじまり、ねずみのお話まで、物語の世界にお出掛けし、春を味わい帰ってきました。
最後に、参加者のひとりがろうそくを吹き消し、絵屋は開店の時間を迎えました。
(I)


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