カテゴリ:砂丘館( 59 )

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ときどき、自分がわからなくなる。
ひとと話すとき、仕事でたくさんのひとと会うとき、はじめての知らない場所に行くとき、ひとりでぼんやりするとき。

どれもが自分のようでいて、でもどれもが自分ではないような気もして、気にしたくないのに、なんだかちょっとしたことが気になって、ときどき、もやもやと思い悩む。

もやもやもやもや…うじうじうじうじ…悩んで悩んで…もやもやもやもや…がつづくと、いい加減自分でも嫌になって(というか、そんな自分に飽きて)、
「開き直り」がやってくる。
峰村さんの裸婦の絵は、そんな「開き直り」の感覚がする。

のびのび・ひらきなおり・とらわれなくして・ありのまま。

絵にでてくる女のひとたちは、よくあるヌードのようにスタイルがいいとは決して言えないのだが、たわわな胸やたわんだお腹、でっぷりしたおしりをこちらに向けて、寝転んでいたりする。その姿は、みんなどこか自分のからだに自信があるような堂々とした趣で、おかしい。

のびのびしたひとの姿は、うつくしく、あいらしく、峰村さんの、ひとを見る肯定感にあふれている。
丸裸なのはきっと、こころもそうなんだろう。
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きょうの新潟はもう夏の陽気のとてもいい天気で、となりの学校の開け放された窓からは、音楽の時間の生徒たちの大きな(そしてかなり音の外れた・・)歌い声(「風が吹いている」byいきものがかり)が聞こえてる。
(小)
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人の裸(ありのまま)を描くことはとらわれない自由を呼吸すること
峰村リツ子展
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2013年5月30日(木)〜6月30日(日) 
9時〜21時 月曜休館 観覧無料
砂丘館

ギャラリートーク
★本展の出品作を所蔵している荒木いづみさんをお迎えし、
生前の峰村リツ子さんについて、晩年まで続けられたその制作についてなど、お話を伺います。
6月22日(土) 15時〜16時30分
お話:荒木いづみ(峰村リツ子四女)、聞き手:大倉宏(砂丘館館長)
参加料:500円(予約不要、直接会場へ)
by niigata-eya | 2013-06-12 17:25 | 砂丘館
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堀川さんの踊りをはじめて見たのは、いつだったろうか。

砂丘館が開館してすぐの年、庭での公演だったろうか。受付の仕事をしながら横目でちらりと、それを眺めていたのが最初だったような気がする。
それから幾度となく、主催側のスタッフとして、または観客の一人として、堀川さんの踊りを見た。

最初の距離は、とてもとても遠かった。
多くの人が口にする、「わからない」という言葉を、わたしもまた無言のうちに感じた。

(いったいなぜ、なにがしたくて、このひとはこんな踊りを踊っているのだ!)

(そしてなぜ、まわりのこの人たち-観客-は、何を感じて、このひとの何を、いったいこんなに熱心に見ているのだ!)

リズムや音楽に合わせて踊るダンスしか知らなかったから、庭や蔵でうごめくようにねじれるように、舞い、横たわる堀川さんの姿を見ても、なにか不可思議な動きをしているひとがそこにいる、としか、わたしには思えないのだった。
そんな自分の感覚が、すこしずつ変わってきたのはまた、いつだったろうか。

はじめて自分が堀川さんの公演に「入れた」と思ったのは、二宮家米蔵での公演だったような気がする。
雨のそぼ降る日、堀川さんが舞い、倒れて、ぶわあっと舞い上がった籾殻の山からは、なつかしいにおいがした。
そのとき、場の「気」や「時」を起こす堀川さんの舞い踊る意味を、やっと知れたような気持ちがしたのだった。

1月の極寒の米蔵で公演を行うと聞いて、「なんでそんな寒い時期に!」と問うた時には、堀川さんは「あの手や足の指の神経が、冷気でぴりぴりくるくらいの寒さがいいんだよ〜」というようなことを言っていた。

あたたかく、ぬくく、整えられた空調の、ライトのあたるステージではなく、ありのままの空気のあるがままの場、そこにさらされた身体の感受性で、堀川さんは踊る。

二人の写真家が追ったその姿を見ていると、まるで、精霊のようだと思った。
ひとでもなく、動物のような植物のような、でもちがう感覚の、ふだんは見えないけど、そこにいる。

写真の前で、堀川さんが身体で感じている空気を思い起こしながら、わたしも、寒さで縮こまった体でのびをした。
(小)


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風間忠雄・村井勇 写真展
堀川久子 新潟デ踊ル1998-2012
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2013.2.19(火)〜3.20(水)
9時〜21時 休館日:月曜日 観覧無料
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【関連イベント】
◆ギャラリートーク「踊ることと見ること」
3月2日(土)午後2時〜 参加費:500円(直接会場へ)
写真家お二人とともに、堀川久子さんの新潟での15年を振り返ります。

◆堀川久子 独舞「このまま」
3月9日(土)午後2時〜
会場:砂丘館 庭園付近
料金:無料(予約不要、直接会場へ)
by niigata-eya | 2013-02-21 22:06 | 砂丘館
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今年の新潟市はめずらしいほど雪が少ない。それでもシベリアから吹き寄せるのか、すさまじい風が、時々雪を舞わせる。

この土地に30年も暮らしていると、雪を見ると反射的に体が縮こまり、防御態勢になる。雪を見る、眺める、という優雅な気持ちなどはどこかに吹き飛び、どちらかと言うと目をそむけたくなる気分の方が、いつしか優勢になってしまっている。

砂丘館で11日まで開催中の「特別展示mikkyoz」の映像に、久しぶりに、降る雪を見つめる快楽を思い出した。縮こまる体、うつむく面を一瞬持ち上げて、ほんの一瞬、1秒の10数分の1の間だけ、寒さを、風の風圧を忘れてしまう—そんな雪の<魔術>が、最後の数十秒にひきのばされて訪れる。2013年の冬は、この映像の中の雪で記憶されるかもしれない。(O)

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特別展示  mikkyoz 006
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2013.2.5(火)〜11(月・祝)
砂丘館(中央区西大畑町)
9:00〜21:00 / 月休
by niigata-eya | 2013-02-08 22:51 | 砂丘館
この夏、どういうわけか、歳をとるのが無性にこわかった。
ただの、個人的な感傷なのだが、一日一日がすぎてゆくことが、なんだか楽しいことがどんどんなくなってゆくことのような気がして、きっと歳をとったらもう、どこにも新しいことやこころをわくわくさせるようなものはなくなって、そんなことにも次第に慣れてしまうのだ、と、妙な感慨にとらわれていた。

上原木呂さんの、新潟ではもっとも大きな展覧会が砂丘館ではじまった。
展示準備のお手伝いに同行した際、つづらのように大きなダンボール箱から、木呂さんが今年に入ってから墨絵で描きあげた新作の、何十枚ものカラスや妖怪や幽霊たちが飛び出してきた。
思いもかけず胸がうちふるえてしまった。
そこからあふれ出た妖気、にも増したエネルギッシュな生命力を、なんと言葉にすればよいだろう。
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うるわしく妖艶なろくろ首や、目をらんらんとさせた毛深いのや、ユーモラスに笑えるのや・・・。
ひとつひとつに、木呂さんのポジティブで生き生きとしたスピリットが宿っていた。
妖怪たちはいま、砂丘館を前代未聞の幽霊屋敷と化し、いたる所で微笑んでいる。
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たのしいことは、まだまだある。そしてそれは、歳のせいではない。そんな元気も与えてくれる木呂さんの、旺盛な製作力あふれるコラージュやオブジェ、鉛筆画もあわせてご覧下さい。
ちなみに、砂丘館は夜9時まで開館しています。
夜はさらに、ゾクゾク感満載です!!
(小)

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上原木呂展 百代の過客
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2012.10.10(水)〜11.4(日)
砂丘館
9時〜21時 月曜休館 観覧無料

□パフォーマンス&ギャラリートーク
出演・お話:上原木呂、聞き手:大倉宏
10.20(土)14時〜16時
参加料:500円(予約不要、直接会場へ)
舞台・映画俳優を経て、パフォーマーとしても活躍する上原木呂さんのパフォーマンスをお楽しみ下さい。

□木呂さんツイッター →
by niigata-eya | 2012-10-12 17:39 | 砂丘館
写真とは眼の仕事である、と、なぜだか急に思ったのだった。

東京を中心に活動する写真家集団「夜韻(やいん)の会」と、地域に埋もれる歴史的映像の発掘や調査を行う「にいがた地域映像アーカイブセンター」、そして砂丘館の共催での写真展がひらかれている。
夜韻の会のメンバー9人と、新潟を代表する3人の写真家の作品による、昭和39年の新潟地震から、3.11の震災後の現在、そして未来へと、映像という装置を通して記憶を受けつなぐ試み。

小さな箱に招き入れた光が白と黒のグラデーションでのみ結ぶ像を、さまざまな薬品と手順を経て紙に焼きつけた時代はとうに過ぎ、ボタンひとつで誰もが簡単に写真を作れる時代になった。

そんな中で問い直される、写真家の役割。

展示のディレクションを手がける石井仁志さんは、よい写真を撮るには、とにかくたくさんの数を撮り、たくさんの作品を見て、そしてその中からこれだと思うものを「選ぶ」のだ、と言っていた。

選び取る眼。

氾濫し、拡散する無限の事象から、一瞬を、ひとこまを、選び取る、
その眼を持つひとを、きっと写真家と呼ぶのだろう。
そして力ある一枚は未来へ受け継がれる。
過去から現代へ、
つやめく生の印画紙から、写真の魅力を感じてみてほしい。
(小)
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砂丘館
特別展示 写真展「私たちは、写真で、未来に、何を残せるのか?」
2012.9.19(水)〜10.4(木) 
9時〜21時 
休館日:月曜日、9/25 観覧無料

●シンポジウム
「地域映像アーカイブ—記憶の共有化と創造」
9.30(日)14時〜 
参加無料(直接会場へ)
by niigata-eya | 2012-09-21 16:53 | 砂丘館
コップのふちから
いまにも溢れそうで溢れない水の
ふるふるとふるえる

つめたい氷が
夏の暑い日差しの下で
ゆるゆると
溶けてゆるんでゆくときの

海辺の
よせた波がひいたあと
砂浜に海水がしみこんで
消えていくさまの


吉田淳治さんの絵を見て、境界線、輪郭線ということに思いをはせていたら、そんな情景が目の前に浮かんだ。

ここと、そこ。
そんな風に、境界線というものを、わたしたちはどこかはっきりと線引きされ区分された、明確なものとして意識していることが多いような気 がするのだけれど、吉田さんの絵を見ていると、隔てる線は、変貌自在 な、あわく、ゆるやかな境なのだと感じてくる。
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色やかたち、複数の異なり隣り合う要素が、分け離されたり、対立し、切り分けられるばかりでなく、押し出し合い、はみ出し合い、溶けあうように寄り添ったり、融合するようにまじったり、一瞬にだけ、わずかに、そっと、ふれる、そんなあわい境。
自然のなかにある、境界線。


いま、わたしの座る受付のうしろには、吉田さんの住まう四国の海のような明るい青が、海沿いをはしる電車から眺める風景のように、切り取られた窓の向こうで、その輪郭をふるわせている。
(小)
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絵画風景 吉田淳治展
7月31日(火)〜9月2日(日) 月曜休館
9時〜21時 観覧無料

【関連イベント】
・ギャラリートーク(吉田淳治/聞き手:大倉宏)
8月4日(土) 14時〜 参加料:500円(直接会場へ)

HAKASE-SUNライブ
8月3日(金) 18時30分〜 2,500円(ドリンク付) 
電話025-222-2676、またはメール sakyukan@bz03.plala.or.jp で申込み
吉田淳治展会場にて、友人である日本屈指のレゲエキーボーディストHAKASE-SUNによる一夜限りのライブ!無事終了しました。
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by niigata-eya | 2012-08-01 15:55 | 砂丘館
蓮池ももさんの絵には不思議な魔力がある。
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小さな画面の中をのぞくと、ひゅっと身体ごと、そこにすいこまれてしまう。
いま自分がいる場所も時間も忘れて、絵の中の世界に自分がいる。
いつか夢の中でみたような、
行ったことのあるような、ないような、
どこかにある国のような、どこにもない国のような、
誰もしらない場所にひろがっている世界。
そこに自分も立っている。
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どこか物語の挿絵のようなのに、そこに言葉はなくて、何かが始まる前の気配やざわめきのようなもの。物語になる前の、萌芽のようなもの、がそこにある。


繊細な筆致でうつむきがちな少女が印象的な初期作品から、ボール紙を削るように荒々しく表現された近年の「ほろびののち」〜「歩く木」のシリーズまで、ひとりの作家が歩み、丁寧に紡いできた、6年の軌跡をたどる旅。
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ももさんの、ひとり絵に向き合ったであろうそれぞれの膨大な時間に思いをはせながら、わたしもその絵の中を旅する。


6月16日には、はじめてだというギャラリートークも。どんな話が聞けるのか、今から待ち遠しい。(小)



●蓮池もも展 もうひとつの旅
 6月5日(火)—7月8日(日) 9時〜21時 月曜休館
 会場:砂丘館 蔵ギャラリー+一階全室
 2006年〜2011の個展で発表された作品約70点を展示。

関連イベント
●ギャラリートーク (お話:蓮池もも/聞き手:大倉宏(砂丘館館長))
 6月16日(土) 14時〜 参加費:500円(予約不要、直接会場へ)

●中野綾子+加藤千明 ダンスパフォーマンス(蓮池もも展会場にて)
 6月23日(土)、24日(日) 両日とも14時〜/17時〜
 定員:各回20名(要予約) 料金:1,500円
 市内在住の若手ダンサーによる、絵とダンスのコラボレーション。
 
リンク:http://www.hanga-cobo.jp/sakiyu/
by niigata-eya | 2012-06-07 22:34 | 砂丘館
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しんぞうさんの新潟での初めての個展が砂丘館ではじまった。
近作を中心に、しんぞうさん自らが展示を手がけた。

しんぞうさんの絵を見ると、ドキッとする。自分しか知らないこころの中の「やわ」な部分を、のぞかれているような気分。。。
一階の人物画は、みな実在の人を描いたのだそう。
写真にもうつらない、友達にも見せない、見られたくない、誰もいない時の自分の顔をそこにさがしてしまう。

一見すると不気味にも、眼をそむけたいくらい不快にも受け取られかねないその人たちを見つめていると、そのうちになぜだか親しみのようなものを感じてくる。
いつも明るく、しあわせでなどいられない。
むなしさも、さみしさも、ある。
それが人なのだと、妙に安心してしまう自分が、いるからなのかもしれない。
(小)


特別展示しんぞう 「あなたの心の裏の河」
2012年4月17日(火)〜5月6日(日)
休館日:月曜(4/30は開館)、5/1
9時〜21時 
会場:蔵(ギャラリー) 観覧無料

私は人間の内面に興味がある。
日常の中で人は自分の役割を演じ、本来の感情を表に出さないよう躾けられている。
それが習慣化すると本来の感情にフタをしてしまい、気が付くと自分の本心というものが、なんなのか分からなくなる。
しかし、ふとした瞬間に皮がはがれ、自分自身を垣間見ることがある。
私はその瞬間を、作品に写し取りたいと考える。
人間の心の闇に潜む感情をさらけ出すことにより、もっと深いコミュニケーションが取れるのではないか、と考えている。
(しんぞう)
by niigata-eya | 2012-04-21 19:52 | 砂丘館
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美術とか芸術とか、よくわからないと、よく言われる。

当たり前とか、そうでないとか。普通とか、そうでないとか。

だれが決めたか、
よくわからない基準で、
世界はできて、いるらしい。


新潟市のダンスカンパニー・Noismなどで舞台衣裳を手掛けてきた中嶋佑一さんの、初の、美術の展覧会が砂丘館ではじまった。
中嶋さんが約1週間滞在し、現地制作した、お屋敷の蔵や和室を使った空間インスタレーションの展示となっている。


現代美術と言えば、既存のものを破壊したり、ただ奇抜なことをして、ひとを驚かせるようなものも多い。
けれど中嶋さんのそれが、きっと違うと思うのは、破壊してなお、誰も見たことのないあらたな美や価値観をそこに見出し、構築することができる人だと思うから。
それはたやすいことでは決して、ない。
Noismの衣裳に見た繊細さに通じる、手作業で作り上げた、1ヶ月間限定のあらたな“世界”を、ぜひじっくりとご覧下さい。
(小)

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中嶋佑一 「イテ、イナイモノ。」
2012年2月21日(火)〜3月20日(火)
9時〜21時 月曜休館 観覧無料

【関連イベント】
・ギャラリートーク(中嶋佑一/聞き手:大倉宏(砂丘館館長)
 2月25日(土)14時〜15時
 参加無料(直接会場へ)

・らいぶ/音楽のようなもの
 3月10日(土)17時30分〜
 定員:50名(予約優先) 料金:1,000円
 出演:安土早紀子、oyama、DJ威力
 お茶:移動喫茶キンメ
 *中嶋さんの大阪のご友人によるライブイベントです。
                         (Photo:M.Sato)
by niigata-eya | 2012-02-22 23:30 | 砂丘館
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馴れ馴れしい言葉を掛けてくる人には気をつけろ

何故かこの坂を昇るたびにこの教訓を思い出す私であった。(W)
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by niigata-eya | 2012-01-29 13:09 | 砂丘館