「近藤さんはあっさり、信田さんはこってりという感じですね」
搬入された近藤さんの作品を開封しながら、大倉さん(館長)が言った。
あっさり味とこってり味のラーメンが頭に浮かんだ。
蔵の1階に近藤さんの作品を掛けたら、絵が窓になって風が通るように、蔵の中がさーっと爽やかになった。
蔵自体が気持ちよく呼吸を始めたようだった。
静謐というにはなんだか親しみがあり、“あっさり”とはまた違う、この魅力はなんなのだろう。じーっといつまででも眺めていたくなる絵が並んだ。
翌日、信田さんの作品がやってきた。大きな絵の放つ光に驚いた。
ステンドグラスのような、教会にいるような。神々しい光に、自分の汚さがまざまざと写し出されるようで、直視が憚られるほどの強烈な光。
見ているだけでじわーーーっと熱くなるような受付に掛けられた信田さんの絵を見たあとで、控え室へ。
ふわりと温かな信田作品とワクワク胸弾むような近藤作品に迎えられる。
それから座敷の床の間に歓喜するほど似合う信田作品を見に行く。
そのまま奥座敷に向かって、お二人のモダンでシックな絵で涼む。
それから今度は和室の二階で、土色の壁によく似合う信田作品を見て、床の間の大きな近藤作品でふーっと心地よい深呼吸をする。
それから蔵へ。
なんなのだろう、このワクワクは!!!
展示会場が出来上がってから、わけもわからずひたすらワクワク。
館内をぐるぐるぐるぐる、何度も巡ってはまたワクワク。
近藤さんと信田さんは面識がなく、この「グリッド(格子)から」という企画で出会うそうです。なぜ、こんなにも「グリッド」に惹かれているのか…
その答えは、5月26日(土)のギャラリートークで聞けそうです。
砂丘館は月曜以外、朝9時から夜9時までやっています!
(備忘)
今回の展示作業のBGM
Fabio Caramuru「EcoMusica/Aves」
世武裕子「おうちはどこ?」
ショスタコーヴィチ「交響曲第5番ニ短調作品47」
(あ)