12/12-20
展覧会が終わってからも、水たまりに、雨の後のアスファルトに、夜空に、路端の暗がりに、七里さんの絵を見つけたような気がして立ち止まることがあります。






七里さんの絵を眺めていると、目が絵になじんできます。
作品には、
「Like all the same」「夜の底」「闇夜の波間」「あえかな皮膜」「滲むもの」「儚い膜」「serenity」というタイトルが付けられていました。


「Like all the same」は、
宮澤賢治の『春と修羅』の序にあった
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
みんなのおのおののなかのすべてですから)
という一文に由来しているそう。
ギャラリートークでは、七里さんが描きたいものの具体的なイメージをお聞きしました。
実在する風景の、とある非常に限定的な部分について静かに熱く語ってくださいました。
そして、抽象に見えて実は具象であったということが、七里さんのお話から次第に明らかになっていきました。
七里さんは銅版画も並行して制作されています。
今回は、新作の銅版画を展示ではなくファイルでご覧いただけるようにしました。
トークで明らかになったことのもうひとつは、油彩と銅版画の一見異なる世界が、底のところではつながっているということでした。
大倉の運転で聴衆とひとつの潜水艦に乗り、七里さんの底の方へ下って行ったようなひとときでした。
(I)