盛岡の児玉晃展
協力砂丘館、認定NPO法人新潟絵屋。
展示と撤収と会期半ばのギャラリートークのために都合3回、盛岡に行った。




展示内容は一昨年砂丘館で開催した「50人のわたし 児玉晃の自画像展」に、北上市ほかが所蔵する児玉さんの母児玉澄(すみ)さんの肖像5点を加えたもの。
この母の像がすばらしかった。


95歳から100歳を越えるまでの母の姿を、文字通りリアルに描いたものだが、その一点の裏には「私のモナリザ」と書かれていた。
しわに包まれて縮んでいく母の姿に、いとしさと美しさを、児玉さんは感じていたのかもしれない。
母の像の制作と重なりながら、児玉さんは病で体重が激減し、薬の副作用で変形する自分の姿を「リアリズム」のレンズを通じて記録するような自画像連作を開始し、
亡くなるまでの十数年で40点以上も描く。

ときに顔をゆがめ、裸の人体標本になり、磔にされたキリストに自分を重ね、枯れたすすきとともにこぶしをふりあげたりする自画像群。



人は消えて、絵が残る。その不思議を会場で実感した。
直接お会いした児玉晃さんと自画像の児玉さんが
今では同じような重さで、存在感で、自分のなかにある。

連日60人以上の方々が絵を見に来て下さり、新聞にも紹介され、盛岡の美術館からのうれしい反応もあった。
新潟、東京、盛岡と児玉さんゆかりの3つの地で開催できた自画像展。
すべては児玉美子さん(奥様)の理解と支えがあってできたことだった。
(O)