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ふしの目をたどる【榎本栄子彫刻展】


汗をかいた皮膚には無数の汗腺がひらいていて、その奥からは無意識のうちに水分と熱が発散され、人体は体温調節を行っている。
肌の表面は、離れて見ると、平らなように見えるけれど、実は、規則正しく凸凹(隆起)している。

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一つ一つの隆起を皮丘(ひきゅう)、皮丘の間の溝を皮溝(ひこう)という。
隆起する皮膚を動かして、人は感情を伝え、ものを語る。

皮膚の一枚内側、一膜まとった内側に、水風船のように感情や思考を湛えて、人間は存在し、今日も無造作に人体を調節しながら身動きし生きている。― ― ―


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彫刻について、いままでうまく解釈ができず苦手意識があったのだが、
そんな風に人間の皮膚のことを考えていたら、すこし合点がいった。
見えるものの表皮とその奥。そのようなことについて考え続けているのが、彫刻家・榎本栄子さんの仕事だろうと思う。

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感情・思考・行為・歴史・人体の神秘をつつむ造形として、木を彫る。刻む。
そのようなことについて考え、書かれた榎本さんの「空間対位法」*はおもしろい。

自然界を造形した神の観念。生命を維持する動物的な機能を持つ口腔と、知覚し思考する目とそれにつながる脳(頭部)とのねじれ。生滅と心理、物理と心理の間にある実態のない中心。
すべてに通ずる宇宙の運動。

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そうした言葉にならないものに表皮(造形)を与えることが彫刻家の仕事ならば、あたえられた表皮を鑑賞することと、その内側にあるものを想像すること。
その二つが、彫刻を見るということなのかもしれない。

とろけるような皮膚のロダンの彫像に感情がつつまれていたように、
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わかりやすいものではないのだが、
榎本さんの造形の中にも、一筋縄ではいかない複雑な思い・思考が内包されている。

今年73歳になる榎本栄子さんの伝えたいこと。
その思いの一端は、どうぞギャラリートークで。(小)


*「空間対位法」については、会場で案内文を配布しています。


榎本栄子彫刻展―空間対位法―70年・伝えたいこと
2015年7月17日(金)~9月6日(日)
9時~21時 休館日:月曜日
会場:砂丘館ギャラリー(蔵)+一階全室

【関連イベント】
・ギャラリートーク「人体に学ぶ」
 お話:榎本栄子、聞き手:大倉宏
 8月16日(日)14時~
 参加費500円(予約不要、直接会場へ)

最終日にダンサー堀川久子さんが会場でおどります!
堀川久子独舞(榎本栄子彫刻展会場にて)
 9月6日(日)18時~
 料金1,000円 定員25名(要予約/8/30~受付開始)


by niigata-eya | 2015-08-09 20:50 | 砂丘館 | Comments(0)