雲はピンク色 吉田光の富士山

色紙に岩絵の具という日本画の画材を用いながら、フューシャンピンクにパステルブルー…
明治生まれの画家とは思えない、若々しく、ドリーミーでファンタジックですらある色使いと筆運び。
ゆらゆらとめぐる雲。黄、朱、青に染まる峰。
本人は洋画家と称した吉田光の描いた富士山と剣や立山など、日本の山々の作品が砂丘館の蔵で展示されています。

先週、会場で吉田光さんへのレクイエムをこめて演奏して下さったギタリストの辻幹雄さんが、
「吉田光さんは富士山を描いてはいるけれど、
富士山のその向こうにあるものを描こうとしていたのではないか」
「ひとにわかりやすいものに価値があるのではなくて、ひとの理解の及ばないもの
=人知を超えたものにこそ価値がある」
とおっしゃっていたのが印象的でした。
どれ一つとして同じもののない、一枚一枚ちがう富士山。
「自分は現実を絵に描いている」と吉田光さんは生前息子さんに語っていたのだとか。
そこにはどんな思いが込められていたのでしょう。

蔵の2階はそんな吉田光さんの作品に触発されて、全方位3Dのように山々が取り囲むような空間展示に。
山にのぼった時のような心身ひらく自由さが感じられる空間となりました。
生前一度も個展をすることなく、生涯を終えられた画家の初個展です。
ぜひご覧ください。
(小)
□会期最終日には、作品を所蔵されている吉田光さんの次男・吉田文明さんにお話を伺います。
ギャラリートーク「父の思い出」
7/6(日)15時〜 参加無料(予約不要、直接会場へ)
お話の後は、文明氏夫人・吉田久江さんによるスコットランドの古い民謡の歌もあります。
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特別展示 吉田光 富士山と日本の山
2014年6月24日(火)〜7月6日(日)
9時〜21時 月曜休館 観覧無料
会場:砂丘館ギャラリー(蔵)
