精霊のようなひと

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堀川さんの踊りをはじめて見たのは、いつだったろうか。

砂丘館が開館してすぐの年、庭での公演だったろうか。受付の仕事をしながら横目でちらりと、それを眺めていたのが最初だったような気がする。
それから幾度となく、主催側のスタッフとして、または観客の一人として、堀川さんの踊りを見た。

最初の距離は、とてもとても遠かった。
多くの人が口にする、「わからない」という言葉を、わたしもまた無言のうちに感じた。

(いったいなぜ、なにがしたくて、このひとはこんな踊りを踊っているのだ!)

(そしてなぜ、まわりのこの人たち-観客-は、何を感じて、このひとの何を、いったいこんなに熱心に見ているのだ!)

リズムや音楽に合わせて踊るダンスしか知らなかったから、庭や蔵でうごめくようにねじれるように、舞い、横たわる堀川さんの姿を見ても、なにか不可思議な動きをしているひとがそこにいる、としか、わたしには思えないのだった。
そんな自分の感覚が、すこしずつ変わってきたのはまた、いつだったろうか。

はじめて自分が堀川さんの公演に「入れた」と思ったのは、二宮家米蔵での公演だったような気がする。
雨のそぼ降る日、堀川さんが舞い、倒れて、ぶわあっと舞い上がった籾殻の山からは、なつかしいにおいがした。
そのとき、場の「気」や「時」を起こす堀川さんの舞い踊る意味を、やっと知れたような気持ちがしたのだった。

1月の極寒の米蔵で公演を行うと聞いて、「なんでそんな寒い時期に!」と問うた時には、堀川さんは「あの手や足の指の神経が、冷気でぴりぴりくるくらいの寒さがいいんだよ〜」というようなことを言っていた。

あたたかく、ぬくく、整えられた空調の、ライトのあたるステージではなく、ありのままの空気のあるがままの場、そこにさらされた身体の感受性で、堀川さんは踊る。

二人の写真家が追ったその姿を見ていると、まるで、精霊のようだと思った。
ひとでもなく、動物のような植物のような、でもちがう感覚の、ふだんは見えないけど、そこにいる。

写真の前で、堀川さんが身体で感じている空気を思い起こしながら、わたしも、寒さで縮こまった体でのびをした。
(小)


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風間忠雄・村井勇 写真展
堀川久子 新潟デ踊ル1998-2012
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2013.2.19(火)〜3.20(水)
9時〜21時 休館日:月曜日 観覧無料
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【関連イベント】
◆ギャラリートーク「踊ることと見ること」
3月2日(土)午後2時〜 参加費:500円(直接会場へ)
写真家お二人とともに、堀川久子さんの新潟での15年を振り返ります。

◆堀川久子 独舞「このまま」
3月9日(土)午後2時〜
会場:砂丘館 庭園付近
料金:無料(予約不要、直接会場へ)
by niigata-eya | 2013-02-21 22:06 | 砂丘館