2/2〜12

e0138627_16581495.jpg
e0138627_18160828.jpg
緑川俊一さんは、長らく「ひと」「かお」を描いてきた。
今年70歳。
プロフィールには、 「1947年東京都生まれ。67年絵を始める。」とある。
これまでに緑川さんからどのくらいの人口が生まれたのだろう。

2001年7月 新潟絵屋での個展
2009年6月 同
2013年3月 素描2人展 緑川俊一・吉田淳治

e0138627_18415762.jpg
e0138627_18430448.jpg
e0138627_18440800.jpg
e0138627_18452724.jpg
e0138627_18465851.jpg
左「かお」コラージュ 2005
右「ひと」ドローイング(ダーマトグラフ)2016

今回は、最新のものと旧作とが入り交じっている。
モチーフは「かお」「ひと」にこだわりながら、
技法はドローイング、版画、コラージュ、フロッタージュなど様々で
画材もダーマトグラフや油彩水彩など色々用いてきた。
e0138627_18491687.jpg
2016 コラージュ 水彩とダーマトグラフ
e0138627_18534652.jpg
洲之内徹『さらば気まぐれ美術館』、
「女のいない部屋」に緑川さんのことが語られる。
e0138627_19170722.jpg
現代画廊の案内状は1986年と1987年のもの。
そのなかで、洲之内さんは
「緑川さん(とその絵)に感謝していることがある」
と書いている。その部分を抜粋する。

 いつだったか、顔をテーマにして顔しか描かず、しかも何百枚も顔を描き続けている緑川さんに、この一枚一枚に一枚一枚の個々の顔のイメージがあって描くのか、と尋ねたことがあった。すると、彼は、そうではない、線を引きたい欲求がまずあり、色を置きたい欲求があり、そうして一枚の絵が生まれたとき、それがイメージなのだ、と答えた。
 答えはそのとおりだったかどうか、もう思い出せないが、しかし、緑川さんの言葉を聞いて、そのとき、イメージとはどういうことか、私は肝に銘じて分かったような気がしたのだ。有難かった。
e0138627_19180744.jpg
e0138627_19191594.jpg
「かお」2006 コラージュ 

2/10(金)
この緑川俊一展会場で、堀川久子さんに踊っていただいた。堀川さん自身は、公演後に次のように書いて下さった。

昨日の緑川俊一展での踊り、どうだったでしょうか?どこから始めても、どこで終わってもいいような踊りであったように思います。もしかしたら、浮かぶような空気感もあったのかもしれませんが、私の昨日の踊りはどんどん凝縮していきました。お客さんがとても近いこと、無音の時間をさらにお客さんたちが研ぎ澄ましたこと、私はその空気の粒に踊らされていたように思います。
これで良かったのかどうか、、その緑川さんの描かれた顔が通り過ぎますが、、それは顔なのですが、顔でなく、姿にも見えますが、姿でなく、なにかを形容しているのではなく、それぞれの映しであるというようなこと、私がその場にいることなのだというような気がしました。

e0138627_11400471.jpg
緑川さんはどうして「かお」や「ひと」なのだろうと考えるけれど、緑川さんにとってはそれ以外に形容しようのないものがあり、どうしようもなく一枚の絵が生まれるということがひたすら積み重ねられている。

会期中は、新潟市美術館「木村希八さんの贈り物」で、緑川さんの版画が出品されていたので、2会場をまわって下さった方もおられた。
(I)






[PR]
# by niigata-eya | 2017-02-09 19:19 | 今月の土壁
1/22-30
渡辺富栄日本画展がはじまりました。
長く日本画を描いて来られた渡辺さんですが、中でも、働く人を描いた作品に大きな魅力を感じた絵屋の小見秀男が、今回の展覧会を企画しました。
e0138627_11395281.jpg

e0138627_12133314.jpg
土壁の作品 左「船を造る人々 掃海船建造・新年仕事始め」2011
右「船を造る人々 チームワーク」2012
e0138627_12135894.jpg

e0138627_12141600.jpg

e0138627_12145968.jpg
e0138627_11382482.jpg

「船を作る人々 甲板補修」2007
下はそのデッサンと下絵
e0138627_11380289.jpg

e0138627_11373921.jpg
今回は下絵やデッサンも展示しております。
渡辺さんは、こんな風に舞台裏をお見せするようなことはして来られなかったそうですが、私たちのみるひと目線のお願いを受け入れて下さいました。
e0138627_12154168.jpg
左・「船を造る人々 陸揚げ点検」2016
e0138627_11355103.jpg

e0138627_12155820.jpg
「船を造る人々 塗装」2011
e0138627_11362137.jpg

e0138627_11364733.jpg

e0138627_12414139.jpg
そして、椿や牡丹、静物なども。1989〜2012年の作品です。
e0138627_13341243.jpg
「少女」1989

長い画歴の中で、船を造る人々のシリーズのはじまりは約20年前に遡ります。
e0138627_11393562.jpg
1/23には新潟日報さんの取材を受け、翌日に掲載されました。
記者のWさん、ありがとうございます。

今日は、とあるお客様から「新潟県民手帳」を見せていただきました。
手帳のはじまりに、渡辺さんの絵が。
e0138627_13355563.jpg
ギャラリートークではいろいろお聞きしたいと思います。

ギャラリートーク 1/25(水)19時〜 
渡辺富栄×小見秀男 司会:大倉宏
500円/申込不要

(I)



[PR]
# by niigata-eya | 2017-01-24 11:34 | 今月の土壁
1/8-18
2017年最初の展覧会は、昨年「絵屋便」(新潟絵屋の案内状)で表紙絵を連載していただいた小林春規さんの個展です。
e0138627_13434446.jpg
e0138627_14235610.jpg
「初冠雪」
e0138627_15490200.jpg
「日の出」
e0138627_13383961.jpg
「雪の夜ー古町ー」「猫柳」
e0138627_15493344.jpg
「春の海」「雪の夜ー古町ー」
e0138627_13390887.jpg
「晩夏」「灯明」「天の川」「早苗田」
e0138627_13394744.jpg
「雨」「晩夏」
e0138627_13401392.jpg
「初冠雪」「破蓮」「居酒屋」「雨」
e0138627_14255731.jpg
「居酒屋」は、絵屋のお近く、こんぴら通りの新ことりさんです。
やきとり、おでん
のところ、ほのかに赤みがさしています。

そして、京都の景色16点。
e0138627_13351280.jpg
e0138627_13353546.jpg
e0138627_13361899.jpg
e0138627_13364135.jpg
e0138627_13370196.jpg
e0138627_14305141.jpg
川面の近影

e0138627_13371776.jpg
e0138627_13373432.jpg
e0138627_13381564.jpg
実は、今回、京都の景色は2002年〜2017年までの1点ずつを展示しています。
春規さんは、学生時代と表具の修行で、長く京都で過ごされました。
故郷の新潟へ移ってからも、京都は折々で絵のモチーフになってきました。
展示では季節を巡る風に並べてみましたが、ここでは、2002年から2017年まで順番に並べて、春規さんに流れた16年を辿ってみます。

e0138627_15050390.jpg
「野菜売ー鷹ヶ峯ー」2002
e0138627_15072671.jpg
「暮雪ー八坂ノ塔ー」2003
e0138627_15074343.jpg
「雪の鞍馬街道」2004
e0138627_15080066.jpg
「高瀬川 一之舟入」2005
e0138627_15082089.jpg
「石蕗ー圓徳院ー」2006
e0138627_15083910.jpg
「除夜の鐘ー知恩院ー」2007
e0138627_15091462.jpg
「初雪ー湯波半ー」2008
e0138627_15094973.jpg
「顔見世ー南座ー」2009
e0138627_15100724.jpg
「光悦寺ー鷹ヶ峯ー」2010
e0138627_15104023.jpg
「鴨川ー三条河原ー」2011
e0138627_15112179.jpg
「疎水の春ー哲学の道ー」2012
e0138627_15115029.jpg
「先斗町歌舞練場」2013
e0138627_15120647.jpg
「紅葉ー真如堂ー」2014
e0138627_15122893.jpg
「山門とタワー」2015
e0138627_15125223.jpg
「八坂ノ塔ー法観寺ー」2016
e0138627_15130834.jpg
「大楠ー青蓮院ー」2017



















[PR]
# by niigata-eya | 2017-01-18 15:06 | 今月の土壁
1月の砂丘館が遠藤龍とleによるユニット、mikkyozの<映像+音響>を蔵の2階で「展示」するようになって、6年になる。

去年もよかったけれど、今年のそれは、個人的にぐっときた。

e0138627_2358488.jpg

e0138627_2359452.jpg

e0138627_23592246.jpg


個人的に、というのは去年の後半、昭和46年刊の『低湿地』(籠瀬良明)という本を古書で求めて読みふけり、低湿地関連の記述をインターネットでずいぶん検索し、その後では河岡武春の『海の民』(昭和62年刊)なども読み、振り返ってみると、水をめぐって読書し、あれこれと思いをめぐらした数ヶ月があった。

その経験が、出だしから呼び覚まされた。

e0138627_23594488.jpg

e0138627_0112.jpg



じりじりという音とともに現れる水面。
水たまりのある野道。
すすきの広がる原っぱ。

明らかに低湿地の気配が濃厚な映像が続き、急に疾駆する窓から見た新潟の夕空に切り替わり、その後は動く窓からの主に都市の映像(フロントグラスは雨で濡れている)と自然の映像が交錯していくのだが、全編に濃厚な水の気配が漂い続ける。

e0138627_014017.jpg


e0138627_012534.jpg


気配どころではない、川や川岸や雨や水たまりが次々と現れて、夜の人工照明が渾沌と入り乱れる映像を経て、最後は……

これから見る人もあるだろうから、はっきりとは書かないけれど、終わったあとに、(リピートするので)また灰色の壁に最初の水面が幻影のように現れる。


e0138627_16774.jpg



冬の暗夜の風のようにも、休みなく操業し続ける工場のうなり声のようにも聞える音が、水のイメージから遠いようで、映像の水の匂いを、なぜか際立たせるように感じられる。

水は、これまでのmikkyozの映像にも頻出してきた。
目新しいわけではないのだが…、今年のそれはすごくしみる。
これまでのものに比べると、コンピューター処理の技巧が見ていてあまり意識されないこととも関係があるのだろうか、などと考えるけれど、よくは分からない。

以下は映像の説明ではなく、この映像から呼び覚まされた私の感懐だが、新潟の土地=平野はかつては水であった。海であった時代があり、砂丘の堰に塞かれて無数の潟が広がった時があり、それらが広大な田園に変わり、次いでその田が埋められて、町に、都市になった時代があった。
その一連の経過を<水との闘い>と呼んだ人もあるけれど、本当に、ほんとうに、人は水と闘ってきたのだろうか、という疑問が、
このところずっと頭を離れないのだ。

e0138627_151811.jpg


e0138627_1394647.jpg


これ以上書くと、mikkyozの映像+音から離れてしまいそうなのでやめておく。
けれど、水の映像絵巻の続く蔵の2階に身を置いていたら、なぜか、答えの容易には見つからないその疑問へ、力強く連れ返されるとともに、

e0138627_163732.jpg


それに立ち向かう勇気を、吹き込まれた。                        (O)

特別展示  mikkyoz011 1月15日まで
[PR]
12/12-20

展覧会が終わってからも、水たまりに、雨の後のアスファルトに、夜空に、路端の暗がりに、七里さんの絵を見つけたような気がして立ち止まることがあります。
e0138627_12475118.jpg
e0138627_12481374.jpg
e0138627_12490133.jpg
e0138627_12493677.jpg
e0138627_12500777.jpg
e0138627_12502718.jpg
e0138627_12504670.jpg
七里さんの絵を眺めていると、目が絵になじんできます。
e0138627_12521616.jpg
作品には、
「Like all the same」「夜の底」「闇夜の波間」「あえかな皮膜」「滲むもの」「儚い膜」「serenity」というタイトルが付けられていました。
e0138627_12534198.jpg
e0138627_12523893.jpg
「Like all the same」は、
宮澤賢治の『春と修羅』の序にあった
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
 みんなのおのおののなかのすべてですから)
という一文に由来しているそう。

ギャラリートークでは、七里さんが描きたいものの具体的なイメージをお聞きしました。
実在する風景の、とある非常に限定的な部分について静かに熱く語ってくださいました。
そして、抽象に見えて実は具象であったということが、七里さんのお話から次第に明らかになっていきました。
e0138627_14265042.jpg
七里さんは銅版画も並行して制作されています。
今回は、新作の銅版画を展示ではなくファイルでご覧いただけるようにしました。
*ここに写真は載せておりませんが、銅版画の新作は、七里さんのホームページ<Gallery 2016>にてご覧いただけます。ご希望の方は新潟絵屋までご連絡ください。

トークで明らかになったことのもうひとつは、油彩と銅版画の一見異なる世界が、底のところではつながっているということでした。
大倉の運転で聴衆とひとつの潜水艦に乗り、七里さんの底の方へ下って行ったようなひとときでした。
(I)











[PR]
# by niigata-eya | 2016-12-31 00:00 | 今月の土壁