12/12-20

展覧会が終わってからも、水たまりに、雨の後のアスファルトに、夜空に、路端の暗がりに、七里さんの絵を見つけたような気がして立ち止まることがあります。
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七里さんの絵を眺めていると、目が絵になじんできます。
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作品には、
「Like all the same」「夜の底」「闇夜の波間」「あえかな皮膜」「滲むもの」「儚い膜」「serenity」というタイトルが付けられていました。
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「Like all the same」は、
宮澤賢治の『春と修羅』の序にあった
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
 みんなのおのおののなかのすべてですから)
という一文に由来しているそう。

ギャラリートークでは、七里さんが描きたいものの具体的なイメージをお聞きしました。
実在する風景の、とある非常に限定的な部分について静かに熱く語ってくださいました。
そして、抽象に見えて実は具象であったということが、七里さんのお話から次第に明らかになっていきました。
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七里さんは銅版画も並行して制作されています。
今回は、新作の銅版画を展示ではなくファイルでご覧いただけるようにしました。
*ここに写真は載せておりませんが、銅版画の新作は、七里さんのホームページ<Gallery 2016>にてご覧いただけます。ご希望の方は新潟絵屋までご連絡ください。

トークで明らかになったことのもうひとつは、油彩と銅版画の一見異なる世界が、底のところではつながっているということでした。
大倉の運転で聴衆とひとつの潜水艦に乗り、七里さんの底の方へ下って行ったようなひとときでした。
(I)











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# by niigata-eya | 2016-12-31 00:00 | 今月の土壁
熊猫
は、中国語でパンダのこと。
熊猫的故事はパンダのものがたり。

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 瞽女(ごぜ)小林ハルやハンセン病の詩人桜井哲夫の顔を、克明なリアリズムで、皺のひとつ一つまで描く鉛筆画家木下晋(すすむ)。

 1年ほど前、その木下が、パンダの絵本を製作中と聞いたときは驚いた。

 パンダ=かわいいというイメージと、彼の絵が、あまりに異質に思えたからだ。

 しかし、こちらがあっけにとられている間に、木下は中国四川省で見たという野生のパンダについて、熱く語りだしていた。
 

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 パンダは絶滅危惧種と言われている。

 しかし、本当に絶滅危惧種というか絶滅していいような存在が人間で、その人間がパンダをかわいいと感じるのは、人類に与えられた救いではないかと自分は思う。

 ???

 最初、意味がよく分からなかった。

 得心がいったのは、彼が実際に中国で出版した絵本『熊猫的故事』の原画を砂丘館で展示し、改めて詳しく話を聞いたときだ。


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 パンダは二頭の子を産むことがある。

 すると母パンダは迷わず、一頭を捨てる。捨てられた子は死ぬ。
 残ったもう一頭をかわいがって育てるが、その子が一歳半になると、とつぜん母は立ち去ってしまう。

 氷河期を生き延びたパンダは、かつては肉食だった。

 しかし厳しく長い時代を生き継ぐ間に、他の生き物が食べない竹を主食とするようになった。
 栄養価の低い竹は大量に摂取しなくてはならず、一頭が生きるには広大な面積が必要になる。
 
 母に去られたパンダは、その広い縄張りで 孤独に生きる。

 そのようにして、限られた広さの世界と、パンダは折り合って生きる。

 その生態は、長い歴史の中で、パンダが身につけた智恵だった。


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 パンダの白黒模様は、ほかの動物には恐怖を与えるという。

 それは孤独で穏やかな(熱量を無駄に消費しないようパンダはよく眠る)この生き物を敵から守るために、自然が与えた異形なのだ。

 一方人間は、自然界で生きうる数十倍もの数が、この地球に生息するようになった。
 それを可能とするため、文明はあれやこれやを強引に考えだすが、そのあれやこれやが、地球そのものを今や危機に陥れている。

 絶滅すべきなのは、人間のほうだ

 しかしその人間が、パンダをかわいいと感じるのは、パンダを鏡におのれを顧みよという声であり、救いのメッセージなのではないか。

 ――そんなことを木下は語った。

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 このパンダの野生の生態と人間との交流を描いた絵本の原画を、蔵の2階に展示した。
 
 1階には4メートルの高さをもつ大作「懺悔合掌図」を床に置き、木下が3年前に出した2冊目の絵本『はじめての旅』の原画を壁に並べた。
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 この絵本(『はじめての旅』)の内容がすさまじい。

 幼年時、木下の家は火事を出し、家族が崩壊する。母は子供たちを置いて家を出る。
 あるとき、少年木下が一人で家にいると、その母があらわれて一緒に行くかと誘う。二人は野宿しながら、富山から奈良までの長い旅をする。

 行き先は母の最初の夫の墓だった。

 現実にあった過酷な旅の記憶を、木下は長く失っていたが、映画「砂の器」のラスト近くのシーンを見て既視感を覚え、思い出す。

 その話を福音館の松井直に話すと、絵本にしましょうと言われたという。

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 2冊の絵本が、どこか鏡像のように思えたのは、展示をしていたときだった。

 木下の母が子を捨てたのは、パンダの母とは違う理由だったかも知れない。
 しかし母パンダも、子を捨て、子から去る理由を自分でも知っているかは分からない。

 同じなのは――母に去られる子の気持ちだ。

 絵本で子パンダは母を探し、見つけるが、その母は雄パンダと恋愛中で、二頭の交尾を見、なにごとかを悟って去る。

 絵本はそのパンダの心に、寄り添っている。

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 『熊猫的故事』の文(中国語)は中国生まれで、福音館のベテラン編集者である唐亜明(タン・ヤミン)が書いた。

 その唐と木下によるギャラリートークの最後に、私がその感想を語ると、木下は自分は2冊は別だと思っていたと前置きしながら、突然母を語りはじめた。

 後年木下は母と暮らすが、昔年のわだかまりから、その母に辛くあたり、暴力さえふるってしまう。

 しかしある画家から、その母の絵を描くようすすめられ、描く。

 その過程でモデルと自然に話をするようになったが、そのようにして母と向き合った時間があって、
 今の自分がある。
 
 そう思う、と。




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 「風」と題された、若い女性をモデルにした最新作が、展示直前に出品作に加えられた。

 感動した。

 子を捨てた母を、まるでその子が、自ら意志と力で産み直したかのような瑞々しさ。
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12月18日まで






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12/2〜10
展示室をぐるり。
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「南側の二線」

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「線路と堀」
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↑「巡礼」
http://niigata-eya.jp/2248
ホームページに紹介していたのがこの作品。
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↑手前「雨」
青の部分には、地図の版が入っています。
突き当たり、スタッフルームの作品「無題」は、「南側の二線」の部分。
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↑左「水の器」
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「別々の場所」
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「壁」
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「三つの世界」
シンメトリーの作品がいくつかありました。
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「澱み」
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「偶然の音楽」の一部





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# by niigata-eya | 2016-12-10 11:34 | 今月の土壁
師走のショップに、青松ワークスの木工オーナメントとグラスワーク未来のオーナメントが入荷しました。

グラスワーク未来
石倉まみ
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グラスワーク未来
大関博史
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グラスワーク未来のオーナメントは1点もの
@4860円/5400円

青松ワークスの素朴な木工オーナメントはデザインが豊富で、組み合わせを考えても楽しい
各@300円
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12月の営業は20日までと短いので、ぜひお早めにご来店をお待ちしております!
(I)

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# by niigata-eya | 2016-12-07 15:31 | SHOP


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前回のようす。
変化してます。

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# by niigata-eya | 2016-11-25 17:49 | 今月の土壁