<   2011年 11月 ( 9 )   > この月の画像一覧

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絵屋のとある一角
(I)
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11月2日に始まった「佐佐木實展」が、いよいよ最終日を迎えた。
はじまりとおわりとで店内の雰囲気は変わり、クリスマスムードが加わった。
 ↓「国籍」
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 ↓「壽と順子」
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パネルは、佐佐木さんへの質問と回答。

Q. こどものころに大好きだった本は?
A. 『香水のはなし』堅田道久・西尾忠久編  東京アド・バンク 1979年
9歳の頃、街の図書館から借りて読んだ本。フランスの香水文化を写真を多用して紹介していた。私はジャン・パトゥという銘柄のJoyや1000という香水瓶を憧れをもって眺め、その香りを想像して「大人になったら必ず買うんだ」と心に決めていた。
19歳になって初めてこれらの香りを嗅いだとき、典雅な貴婦人の香りがして、圧倒された。

Q. 影響を受けた本は?
A. 『声の文化と文字の文化』ウォルター J.オング 桜井直文ほか訳 藤原書店 1991年
(Walter J.Ong, Orality and Literacy, The Technologizing of the Word, Methuen, 1982)
私が藝大の大学院に入った頃に読んだ本。人間の言語活動について、特に話す行為と書く行為のそれぞれの特質について広く、横断的に検証している。この本を読む以前から、言葉や文字というものについて考えていたが、この本を読んで一気に視野が広まり、多くの課題が目の前に見えた。私は私が制作する作品を「書」と呼んでいるが、実は「言語活動」そのものが制作の主題となっていて、それにはこの時期にオングやその他多くの言語に関わる著作から触発されたことが大きく影響していると思う。石川九楊、バルト、ドゥルーズ、デリダ、マクルーハンなども勿論読んでいたけれども、オングは示唆に富んでいて、多くの啓示を与えてくれた。

Q. 最近読んだ本は?
A. ごく最近読んだものはといえば、料理の盛付けに関する本を何冊かまとめて読んだ(今回の展覧会では「食」に関する言葉を書いた作品も展示しているのでどうぞ御覧ください)。これから読もうとしているのは、小林秀雄。

Q. 最近3年間で一番印象的だった本は?
A.『闘う白鳥』マイヤ・プリセツカヤ 山下健二訳 文藝春秋 1996年
旧ソビエトを代表するバレリーナの自伝。彼女が「体制」側から絶え間なく突きつけられてきた理不尽な要求が細やかに描写され、また彼女の私的な感情も赤裸々に綴られている。20年程前彼女が『カルメン組曲』を踊るのを見て感激して以来私は彼女が大好きであったので、内部事情を美化せず、時に暴力的に告白する彼女の文調には抵抗を覚えることもあったが、そこには本当の、偉大な芸術家の姿があったと思う。誰かに「何か本を推薦してください」と問われたら、この本をすすめると思う。

Q. 好きな作家やジャンルについて
A. 上に挙げた本の中に物語が入っていないので、私自身が個人的に共感を覚え感情移入できるような物語を数点挙げてみたい。それは、谷崎潤一郎の『細雪』や太宰治の『斜陽』。他にはオスカー・ワイルドの『サロメ』。三冊とも十代の終わり頃読んだ。サロメは肉欲の化身のように解釈されることが多いと思うが、私にとってサロメというのは観念的で自己陶酔的な恋をしていて、奔放というよりも、否定され抑圧された結果、内にうごめくエネルギーを熱狂的に外に迸らせる、繊細で禁欲的、自傷的な女性であるように思われた。読んだ当時、まるで自分そのものと思った。ビアズレーの挿絵も大好きだった。これとは反対に、夏目漱石の『三四郎』には全く共感できず、一体どこがいいんだろうとさえ思った(漱石では『それから』のほうがずっと面白いと思った)。

 ↓「なまけもの」
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とある日の佐佐木さんとのやりとりで、「やきもきする」という言葉が出た。
ふと「やきもき」について考えたくなった。
それから「やきもき」を、佐佐木さんの作品風に想像したのしんだ。
佐佐木作品の魅力は、そんな風に持続する。

会期の中頃には、絵屋にも北書店にも「田舎の生活」(フリーペーパー)秋号が届いた。季節は冬へ。
佐佐木さん風、佐佐木さん的を探して、冬を過ごしたい。
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by niigata-eya | 2011-11-30 15:14 | 北書店
「牛腸茂雄 写真展」(2000年12月)出品作品のご注文を受けた。
ご注文のSさんから、お受け取りまでの間、絵屋で掛けてと嬉しいお申し出があり、11月に入ってからこの写真と過ごしている。

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(鈴木佳尚展の新潟絵屋・スタッフルーム)
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牛腸茂雄さんのセルフポートレイト。
プリントは三浦和人さんが手がけて下さった。
写真の牛腸さんと、時空を越えて目が合う不思議。
遠く近く遠い。
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鈴木佳尚展 DREAM FLOWER
(2011.11.22-30 於:新潟絵屋)
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 ↑ 部分
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盛岡出身の鈴木さんは、映画「阿賀に生きる」の上映で新潟との縁が深まった。
21日 車に作品を積み、盛岡からはるばるいらっしゃった。午後展示。夜プレ小酒宴。
22日 午後、盛岡へ。

鈴木さんの絵屋での個展は今回で3回目。
前のふたつを開催した頃、絵屋は並木町にあった。
現在は、元の建物を解体し別な土地に移築した

2001年「絵屋ニ居リマス展」のときは、周囲にたくさん家があった。
鈴木さんと、今はもうない「マジョリカ」というレトロな喫茶店に行った。
2004年「越後一画展」は、生まれて7ヶ月のこどもをスリングに抱きかかえ見に行った。
抱っこして頬を寄せ、絵を眺めた。
ふたりで一緒に見る幸せと、絵を見つめる間ひとりになれる幸せとがあった。
周囲は家が減り、絵屋は広々した空き地にぽつんと立つようになっていった。
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by niigata-eya | 2011-11-22 15:51 | 今月の土壁
眞島美代子展
(2011.11.12-20 於:新潟絵屋)

眞島さんのこれまでに取り組んだシリーズを一同に見られます。
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いつもは時計が見えないところにあるのですが、今回は見えています。
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日が短くなりました。
家の明かりが温か。
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(I)

◆作家在廊日◆ 土日 
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by niigata-eya | 2011-11-15 22:44 | 今月の土壁

ご案内です。
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畑尾和美 朗読会 
2011.11.13(日)
*時間* 15:00-16:00
*会場* hickory03travelers(新潟市中央区古町通3番町556) 2階
     会場では、11.27(日)まで作品を展示しています。
*料金* 500円
*主催* 新潟絵屋(025-222-6888 info@niigata-eya.jp)直接会場へ。


畑尾和美 / hatao kazumi 
1974年大阪生まれ。大阪在住。言葉を綴り、糸や身のまわりにあるもので作品を制作。個展多数。創作の他、朗読を行う。
http://hataokazumi.net/


畑尾さんとは、今年7月、大阪のSEWING GALLERY(ソーイングギャラリー)さんでの展覧会「九月の朝顔 -声の本-」で、はじめてお会いしました。

 指の間から落下する種、急須でお茶を注ぐ手、
 ひしゃくが入ったバケツを持つ手、バケツの水に浸した足・・・

作品は糸で描かれており、身のまわりの出来事が丁寧にそこに縫い取られていました。畑尾さんは、永井宏さんのものづくりのワークショップに通ったのをきっかけに表現活動をはじめました。現在は、作品を制作し各地で発表する傍ら、朗読を行い、人や場所との出会いを大切に活動しておられます。
9月には、朗読会で発表してきた詩をまとめ、詩画集 『 九月の朝顔 』(BOOKLORE/畑尾和美・著)が出版されました。新潟絵屋SHOPスペースでは、畑尾さんとの出会いをきっかけに、このBOOKLOREさんの書籍を11月末までお取り扱いしています。
BOOKLOREさんの書籍のなかで、『Fantastic Something』(中島恵雄・著)帯に「ひたむきに生きていこうとする信じようとする言葉」とあります。畑尾さんや、BOOKLOREさんを知るほどに、この「ひたむき」の言葉がフィットします。

今日はヒッコリーさんの2階で展示をしてきました。
作業を進めながら畑尾さんと話したこと。

  以前、展示の際に額に入れたら「ガラス越し」に違和感を感じたこと。
  何てことないことだと、シートのまま見てもらった方が伝わる。
  見たひとが触発され、何か表現したい気持ちに繋がれば、と考えた。

明日はたくさんの人が見に来てくれますように。
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「二十四節気七十二候カレンダー」(1,890yen / Think the Earth)がショップに入荷しました。
古代中国に伝わった美しい七十二候の言葉は華雪さんの書。
およそ5日おきにめくる仕組みとなっています。

家と絵屋で使い始めて2年経ちます。
今日は「山茶始開」(つばきはじめてひらく)。
旧暦10月14日、3日後は満月。
…山茶は「つばき」と読むが、山茶花(さざんか)のこと。さざんかの花が開く。椿(つばき)が咲くのは2〜3月頃。二十四節気は「立冬」、いよいよ寒さも本格的に。(解説より)

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2011年の大きな出来事は、家に、私の机ができたことです。
正確には家の人とふたりで共有しており、子供部屋の一角にあります。
一角とはいえ、机につくと満足し、嬉しくなりました。

机の壁には、何年か前に買い求めた華雪さんの篆刻と、今年新たに書を掛けました。
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左:「木馬斬風」(篆刻)
右:会田綱雄・詩「天使のいる風景」より
戸の上:緑川俊一「ひと」

家の中で絵を掛けかえるのは、とてもたのしい。
同じ部屋の別な壁
写真・村井勇「ロオリング」
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廊下
長尾玲子「バス」(私的花言葉シリーズより)
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茶の間
左:渡辺隆次「天使の胞子紋」(シルクスクリーン)
右:小林寿一郎「風」(小口木版画)
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机があった場所には、もともと箪笥を置いていました。
その上に、小林寿一郎さんの版画を掛け、長らく落ち着いていたのですが、
このたび箪笥は机と90度の位置に置かれることになりました。
絵は茶の間へ。

床の間
左:松本健宏「堀割計画」(染色)
右下:平野照子 陶のノート
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カレンダーはあと4日間「山茶始開」のページ。
次は何だろう。
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町の書店で展覧会を企画しています。

「佐佐木實 書展」
2011年11月2日(水)~30日(水)
会場:北書店
(中央区医学町通2番町10-1 ダイアパレス医学町101 025-201-7466)
9:45-20:00 / 日曜日12:00-OPEN / 第1・3日曜日休  
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 私は言葉を書いています。
 つまり文字を書いています。
 言葉を書いているという点をもって、私の作品を「書」と呼んでいます。

 原則的に、一作品毎に一つの言葉を書いています。
 その言葉は同一紙面上で何度も繰り返し書かれています。
 書かれている言葉はそのまま作品のタイトルになっています。
 (例外もあります)
 タイトルを手掛かりに、あるいはタイトルを見ずに自力で、
 書かれた言葉を探してみてください。

 佐佐木實


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 ↑ 「性差」
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 ↑ 「隣人」
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 ↑ 「国籍」
(後ろ姿は佐佐木さん)
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 ↑ 「なまけもの」
(一箱古本市でブックライト賞を受賞し、<北書店で1ヶ月間、自分の棚を持てる権>をゲットした「古書雑踏」さんの売場付近)

そのほかの出品作品をタイトルだけ挙げてみる。
  「偉人」「はらいたまえきよめたまえ」「生野菜」
  「おみず」「ぐうたら」「壽と順子」

佐佐木さんの作品の魅力は、言葉のセンスと、接近すると際立って見えてくる芸の細やかさだ。
ぜひ実物をご覧いただきたい。

会場には、佐佐木さんへの本にまつわる質問と回答が置いてあるのだが、それがまた面白い。
  ● こどものころに大好きだった本は何ですか?
  ● 影響を受けた本は何ですか?
  ● 最近読んだ本は何ですか?
  ● 最近3年間で一番印象的だった本は?
  ● 好きな作家やジャンルについて
回答はこちらで →

おまけ
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棚に住む犬殿 よろしくお願いします。
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佐佐木さんと展示を終えたころ、外は夕焼けが美しかった。
いつか北書店で出会った『君は隅田川に消えたのか』を思い出し、
空き箱と佐佐木さんと吉永晴彦さんとOさんと新潟絵屋へ帰った。
実は、この日、ただいま絵屋で展覧会を開催中の吉永晴彦さんの展示を15時までしていた。
それから吉永さんは佐佐木さんの展示に同行してくださったのだった。
おふたりとも、東京からお越しいただきどうもありがとうございました。
(I)

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by niigata-eya | 2011-11-07 01:29 | 北書店
吉永晴彦展
(2011.11.2-10 於:新潟絵屋)
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吉永さんの作品は版画。
色は白、グレー、黄が使われており、シンプルでおしゃれな印象を受ける。
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絵屋便(絵屋の月刊案内状)やHPで掲載していた作品「settlement」(↑)の白い部分が、実物を見て、紙の色だと分かった。
絵が違って見えた。
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「甘い匂いがするよ」
と、あるお客さんに言われた。
「ほんとうに蜂蜜を使っているでしょう?」
ほんとうには蜂蜜を使っていないけれど、そう思えるのは不思議で面白い。
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11.15記
展覧会が終わってからも、絵は心に残る。
吉永さんの絵はうっすらとしたトーンの色味や表面の質感が魅力的だった。
会場では、絵が掛かっていない一角にスポットを当てていた。
絵を見た残像が、光の中心にあるような気がして、それも面白かった。
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by niigata-eya | 2011-11-07 00:37 | 今月の土壁