茶色について 【早川俊二展】

明日(11/29)で終了する早川俊二展は、長野(6月)札幌(7~10月)と旅をして、新潟のあとは酒田(2016・1/5~26 酒田市美術館)に旅立つ。
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ほかの3会場は、どこも鉄筋コンクリート造りで、長野市の北野カルチュラルセンターは、天井もおそろしく高い大ホールで、その3階まで絵が並んでいた。

なので、絵が大きいなと思ったものの、実感がわかず、新潟に出品の絵はかなりしぼらせてもらったにもかかわらず、到着してから、その大きさにあらためてびっくりした。

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結局、大きな作品を数点未展示とした。

絵と絵の間をそれなりにあけて、砂丘館の建物と絵の関係を大事にしたいと思ったからだ。

蔵のパネルも大きな絵の場所ははずして、柱を露出させた。絵がパネルからはみだしそうだったからだ。
そうして絵をかけ終わって、ふしぎなことに気がついた。見慣れた柱がいつもと違ったように見えるのだ。

なぜだろう??

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長野の展示を一緒に見た砂丘館の<小>さんが、早川さんの絵の「しもふり」に引かれるという感想をもらしていた。しもふりは、明色や暗色、いろんな色が小混ぜになった様を言う言葉だが、パレットナイフで何度も何度も絵の具を重ねて生まれる早川さんの絵肌は、なるほど「しもふり」である。
ギャラリートークのとき、ちょっと点描のようでもありますね、と早川さんに言ったら、タッチが単調になる点描の欠点を話され、スーラは素描があんなに素晴らしいのに、油絵がつまらないのは、そのことと関係があると、目を開かされるような発言をされた。

早川さんのタッチは、たしかに、なるほど「点」ではない。

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その点ではない「タッチ」に目を近づけて、思いがけずそこに「茶色」を発見した。

遠目では、あまり気づかなかった色だけれど、ほとんどの早川さんの絵には、茶色、または褐色が織り込まれている。
この褐色ー「茶色」が、どうやら淡い紫や青や灰色を、物の固有色から解き放つ作用をしているようでもある。
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そして、その褐色が、絵の外にまで波動を広げて、柱や、床や、木造空間のあらゆる場所にひそむ茶色ー褐色を共鳴・生動させているのだと気づいた。

しかも、建築後83年を経過した砂丘館の木部(主たる茶色部分)は、汚れたり、変色したり、さまざまに傷ついたりして、これまたどこも微妙で雑多な「しもふり」になっているではないか。

絵と建物にひそむ、茶色のしもふり同士が、ひそかに会話(チャット)を交わして、砂丘館をにぎわわせていたのだった。
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ちなみに…
褐色を茶色と言うのは、茶を染料として用いると、その色になるからだとのこと。

酒田市美術館の壁は大理石だという。
今度はどんな共鳴が起きるのだろう?
見に行ってみたい。

酒田市美術館
                                  (O)




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by niigata-eya | 2015-11-28 17:07 | 砂丘館 | Comments(0)