線はこころを遠くへみちびく(生誕100年 浅野弥衛展)
「自己」表現ではなくて、「世界」表現なのではないか。
それは、その人にとって世界がどのように見えているかっていうことの――
どこで読んだのだかさっぱり忘れてしまったのだが、最近読んだ本だかなにかでそう
言っていた人がいて、
なるほど、と思ったことを浅野弥衛さんの作品を見ていたら思い出した。
浅野弥衛さんの絵は色も極力おさえた、線と面の抽象の世界。
写真ではよくわからないけれど、直に見るとそこに絵具の質感と密度、余白の美か
ら、リズム、気配が加わって、
画面からぐ~っと力強いエネルギーが伝わってくる。
浅野弥衛さんはよく家(アトリエでもある)に遊びにきた孫の友達に、乾いて完成した
絵の画面をさわらせていたのだと言う。
「じいじの描いた絵は強いから、少しくらい手の油がついたくらいで、どうこうなら
ないんだよ」、と。
なんてかっこいいのだ!
自分だけしかいない世界はつまらない。
自分にはよく知らないことも理解できないことこともたくさんあるから、世界はおも
しろい。
(小)
生誕100年 浅野弥衛展 かたいのに、やわらかい
開催中~2014年8月24日(日)まで
9時~21時
会場 砂丘館ギャラリー(蔵)+一階全室
観覧無料