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Wave from Sweden 2

3.高見晴恵「はじまり」(蔵ギャラリー1F)

同じく来日し、作品制作を手掛けてくださった高見さんは京都のご出身ですが、スウェーデン在住20年ということで、日本とスウェーデンを行き来しながら活躍されています。

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スウェーデンを代表する作家アストリッド・リンドグレーンの生まれた町に住んでいるという高見さん。
生まれ育った京都の繁華街から、街灯もほとんどない、人より牛の数が多いというスウェーデンの小さな田舎町に移り住んで、それまでは知らずにいた夜の闇や月明かりに触れ、うつりゆくこと、変わっていくことをよしとする日本の文化にも気づかされたと言います。
今回の高見さんの作品は、照明はいっさい使わず、窓からわずかに差し込む陽の光だけでの展示となっています。
時間帯によって変わる光、そして際立つ闇。夜にかけてどんどん見えなくなっていく形、色。
床に敷き詰められたのは工業製品の青い布を、一筋一筋、高見さんがはさみを使ってすべて手作業で切った裂の束。
差し込む光の加減によって、その束は固くも柔らかいようにも、池や湖のゆらめきのようにも、干し草のようにも見えます。
青い作品のまわりには腰かけて座ることができます。
真っ暗になった中で、そこに佇んでいると、今いる場所や時間がゆらめいて、ちょっと不思議な心地になります。
作品をはさんで向かい合うと、まるで対岸に人がいるようで、顔の見えないぼやけた人の姿との距離が、伸び縮みします。
きっと、自然の中で夜や夏や、音や匂いを感じているときとあまり変わらないような感じで。

布の色「青」と「はじまり」についても実は意味があります。このお話を聴きたい方は、どうぞ係りにおたずねください。
(写真:高見晴恵)


4.キャスティ・ラグフェルト・ストランベリ「器」(蔵ギャラリー2F)

コログラフィーという技法の版画で大きな植物の絵をタペストリー状にした作品を出品してくださったキャスティさん。
ゲスト作家のため来日せず、スウェーデンから送っていただいた作品を当館スタッフが蔵の天井からつるしました。

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ランダムに宙に浮いたそれらは、O氏いわく“like in the mythic forest of another planet”とのこと。
和紙のような紙に印刷された繊細な植物の色彩とシェイプは蔵との相性もよく、とてもうつくしい空間になっています。

以上、4作品をご紹介しましたが、他館の展示作品にはちょっと驚くようなものも。
日本の精神文化や自然への高い親和性を理解しながら、けれどそうではない、自分たち西欧の思考や価値観を示した作品なのだ(「nature自然」というものの解釈ももちろん違う)、という話を作家から聞いたとき、「わたし=日本人」であることの決定的な有限性を感じました。
わたしがわたしの目で見て感じ考えているものは、わたしが日本人であるからこそのもの。

伝統的日本家屋や建造物でのスウェーデンのアート。
そんなスウェーデンや西欧(大陸)と島国日本との似ているところ・違うところ、近さや遠さも発見できる内容になっています。
展覧会は8月25日まで。スタンプラリーも実施していますので、パンフレット片手にぜひ、西大畑・旭町の歴史的建造物とスウェーデンアートめぐりを、お楽しみください。

Wave from Sweden スウェーデン現代美術家展ARTMINERS
7/25(土)〜8/25(日) 休館日:月曜ほか
観覧無料(一部有料館あり)

8/24(土) 堀川久子 公演あり
12時〜砂丘館 15時30分〜新潟大学あさひまち展示館(予定)
※詳細近日、お知らせします。

リンクhttp://www.sakyukan.jp/gallery.html
by niigata-eya | 2013-08-04 18:37